心理カウンセリングとは何か・2 心理カウンセリングの目標は行動の変容のみか
前回クライエントの方は「自身の抱えている生き辛さに対して、いかに対応するか、いかに解決するか、生き辛さからの解放を図るため」に心理カウンセリングを受けに来られますと書きました。
そして、心理カウンセリングの定義を國分先生の本より引用して「カウンセリングとは、言語および非言語的コミュニケーションを通して、相手の行動の変容を援助する人間関係である」と定義しました。
この2つを並べますと心理カウンセリングとは「生き辛さからの解放を目指し、行動の変容を図るための援助行為」ということになります。
さて、ここで疑問が生じます。
それは生き辛さからの解放において、すべてがすべて行動の変容を目標とするのであろうかということです。
言い換えますと、心理カウンセリングの目標は「行動の変容」のみだけであるのかということです。
行動の変容とは対人不安の方が見知らぬ人ともリラックスして話しが出来たり、仕事の悩みで休職中の方が職場復帰を果たしたり、摂食障害の方の過食が治ったりと様々なことがあげられます。
しかし次のような相談内容の場合、行動の変容を目指すのでしょうか。
・失恋した方の悩み(喪失体験)
・大切な何かを失った体験(喪失体験)
・目の前で大きな事故を目撃したショック(PTSD)
・自身が自己に遭遇した経験よりのショック(PTSD)
・何らかの出来事によって混乱した心の整理を図りたい(心の整理)
・怒りの発散をしたい(心の整理)
上のような、大切な何かを失った悲しみや、心的外傷後ストレス障害(PTSD)のように心の傷(ダメージ)の悩み、もしくは混乱した心の整理や怒りの発散についての相談については、行動の変容を心理カウンセリングの目標とするのでしょうか。
まず喪失体験やPTSDは、心の傷ですから、心の傷を時間をかけて癒すことが大切です。
もちろん、心の傷から不適応行動が生じているかもしれませんが、行動の適応を目指すのではなく、心の傷を癒すことが先決です。
結果として生じている不適応行動が適応した行動へと変容も図れると思うのです。
したがって心理カウンセリングにおいては必ずしも行動の変容を目指す必要はないということになります。
また心の整理や怒りの発散のような相談内容についても行動の変容を目指すというより、カウンセリングを通して心がスッキリとしていただくことが最重要です。
では、喪失体験やPTSD、心の整理等の場合心理カウンセラーは何を目指しカウンセリングをすればいいのでしょうか。
何も目標にする必要はないのです。
喪失体験、PTSD、心の整理等のカウンセリングにおいては、クライエントの方、悩まれている方を受容して、ゆったりと落ち着いた雰囲気の心理カウンセリングを展開することが重要なのです。
クライエントの方は心理カウンセラーと話す中、徐々に気持ちが整理され落ち着かれていくかもしれません。
何かにハッと気付かれるかもしれません。
焦らずに、クライエントの方を何とかしよう、結果を出そうと思わないことです。
心理カウンセリングを受けに来られるクライエントの方は「自身の抱えている生き辛さに対して、いかに対応するか、いかに解決するか、生き辛さからの解放を図るため」にカウンセリングを受けられます。
そして、この生き辛さからの解放には不適応行動からの「行動の変容」を目指す場合と、「心の悩みや苦しみを傾聴して受容するのみ」の2つのカウンセリングがあるのです。
(当然のことですが、心の悩みや苦しみを傾聴受容して気持ちを整理したあと、行動の変容を目指す場合も多々あります)。
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